2016年2月12日金曜日

いいないいな。人間って、いいな。



 8日(月)


たけしくんは頼まれごとの仕事へ朝から出かけていった。
息子は学校。久々に朝からひとりの時間。
家事をそこそここなしつつ、午前中は調べものや勉強などなど。

残り物パラダイスみたいな、質素なのに少量づつ、品数だけは多いというような
昼食を済ませる。
食べながら、左手では、図書館で借りた本をめくって読みながら。
だれかと一緒にごはんを食べてるときには絶対やってはいけない行為と思うけど、
ひとりごはんならたまにはこんなふうに本や雑誌読みつつのごはんも悪くない。
とはいえ、雑穀米入りのごはんも、イカとキャベツの炒めものも、
アボカドもスープだって、ちゃんと味わって食べる。
たまに「こぉっれ、うまっっ」とか小さく声が出る。
本に残り物のごはんが勝ったみたいな気持ち。

午後からはいよいよ仕事の鬼。
リキッドソープの素を4セット連続で作った。
作っては、使った道具などを全部洗い、きれいに消毒して、また作る。
途中息子が帰宅したので、宿題を見てやりながら、声をかけたり
教えたりしながら。

たけしくんが帰宅。
一緒に仕事に行った猟友会のおじさんが、小熊の毛皮 をくれた。
私へのプレゼント。





9日(火)


午前中、千葉の友人から荷物が届いた。
中には手編みの手袋、大橋トリオの新しいCDと、チョコレート。
ムーミンのかわいい缶を見たら、うちのムーミンのマグカップを思い出したんだって、
お手紙に書いてあった。
うれしいなぁ。
前にもらった手編みの手袋が、もぅ3年目。
車に乗るときのハンドルの冷たさを、いつもやわらげてくれる。
それでいて、私は手が大きいので市販のものだと手首がでちゃって寒いのだけど、
友人の手袋は手首のところが長いので、家でも寒いときなんかには重宝する。
3年前のこの手袋をもらったときのお手紙も思い出す。
いつも、私たち家族をぐるっとあたたかく見守り、応援してくれている。
ありがとうを何回言っても足りないほどだけど、
今回も、本当にうれしい。いつもいつも、本当にありがとう。(早速大事に使います!)

昼まではラベルの印刷とカットの作業。
ごはんを食べてからは、希釈した石鹸の香りづけと、容器に入れる作業、
そしてラベル貼りなどで、一気に時間がたった。
息子は私がラベル貼りに夢中になってる間に、宿題を置いたまま、
こたつで熟睡してしまったが、疲れているときは素直に寝ればいい。
眠いときには体がそう言っているんだから、
なるべく体の要望にに従えばいいと、私も常に思っているから。




10日(水)

昼前に家を出て、シリケカフェに納品。
昼時の忙しい時間の前にと思っていたのに、
バッチリお昼に着いてしまった。
お客さんもいっぱいで、私はカウンターの隅に座ったのだけれど、
次から次へとお客さんが入ってくる。
空いてる席がないかを見まわすみかこさんに、すぐさま食べ終わったお客様が
「ここ、あきますから♪」という声がけがあったりなんかして、
このお店のこういう優しい雰囲気は、おいしいお料理とスタッフの方や、
その他お客様みんなからできているのだと思い、なんだかしみじみする。
この日はリュートという楽器の生演奏があって、そのゆっくりとした優しい音色の
おかげもあってか、忙しいバタバタ感は何も感じなかった。
リュート。初めて見て聞いたけど、すっごくきれいな音で私は感激だった。
パンプレートは相変わらずおいしくて。
チーズとジャムののっかったパンを食べながら、リュートの音に耳を傾け、
私は今、すんごい贅沢をしているなと思った。

値札を書いてる間に、アボカド石鹸の最後の1本が売れた。
レジのところからみかこさんが「ゆき坊さーん♪最後のいっぽんがうれましたー☆」と
声をかけてくれた。その瞬間に立ち会えて、私はうれしい。
「ありがとうございますー」と、直接お客様に言えた。気分は最高だ。

帰り際、みほちゃんの家に寄り道。
1週間前に生まれた赤ちゃんを見に行く。
シリケカフェのパンをお土産にもっていったら、みほちゃんはとっても喜んでくれた。
赤ちゃんは、小さくて、ホカホカで、まだ天使の羽と、見えないキラキラの輪っかを
身にまとっているような、神聖なる空気に満ちていた。
しっかり手を洗ってから抱っこさせてもらった。
ホワホワ。
やわらかくて、あったかくって、抱いているのに浮かんでるみたい。
指を出したら、小さな手でキューっと握りしめてくる。
赤ちゃんを見ていると、まるで、時が止まっているようだ。
そして、みほちゃんはと言えば、1週間前に産んだとは思えないほど
元気そうで、「本当に産んだの?」と聞きたくなるほどあまりに普通だった。
聞けば4時間の超安産だったとの事。
産前にやった骨盤ベルトと体操が良かったのかも、と言っていた。
元気そうなみほちゃんと、赤ちゃんに会えたのもうれしかったけど、
みほちゃんの家のおねーちゃん(5年生)と弟君(3年生)が、
赤ちゃんを取り合うようにだっこしてかわいがっていたのが、ものすごく
微笑ましく、みんなが幸せの球体に包まれているようだった。

いいものみたな、という感じで帰宅。

売上が良かったので調子こいて、「ちゃたまや」のダブルシューをお土産で買ったのだけど、
これをコタツで食べてる私たち3人も、今現在、なかなかの「幸せの球体」かもしれない。

11日(木)

祝日。息子が学校休み。
と、いうわけで、土日よりも土日みたいに過ごす。
みんなで朝寝坊して、起きたのになかなか布団から出ずに、
猫のトトラも一緒にウダウダ、ヌクヌクと、みんなで精いっぱいダラダラ起きる。

遅めの朝食を食べてからは、それぞれが思い思いに過ごす。
息子は大好きな「カンフーパンダ2」を見てた。
もぅ何度も飽きずに見ているが、これは大人の私たちも大ファン。
決めのセリフの「シュクブーン」(と、聞こえる)ところが、いつもみんなの合言葉みたいになっている。
思い思いに動いているのに、そのセリフの前後のところはしっかりと聞き耳をたてている。
早く3の上映を映画館で見たいなぁ。

そして私はずーーーーーーーーーーっと。
気になっていた「鹿の皮なめし」に手をつけた。
去年の夏、息子を千葉のばぁちゃんのところへ送る、その前日に、
畑の裏でかかった雄鹿。
時間がない中、タケシくんと2人で、鹿を仕留め、止め刺し、血抜き後自宅へ持ち帰り、
解体、肉は部位ごとに分けて冷凍し、皮は夜なべして残った肉をそぎ落とす作業をした。

長野に戻ってから、その皮を洗って干して、
塩をミョウバンをまぜたのをまんべんなくかけたのち、
新聞にくるんでまるめておいた。
後日、なめさないと、と思いつつ、ついつい忙しく手をつけられないまま
どんどん月日がたってしまった。

今日は半年ぶりにそれを開けて、毛と皮以外の部分を削る作業をした。
時間がたちすぎていて、かなり固くなってしまったようで、
作業は簡単にはいかなかったが、サンダーを使って少しづつ、少しづつ、
薄くし、きれいにしていく。
結局夕方までずーーーっとその作業に明け暮れていたけど、
固くてまだまだ全然おわらない。
でも、ほっといた自分の反省も含め、あきらめるわけにはいかない。
なにしろ、この鹿さんの、夏のかのこ柄の、本当に美しいこと。
命を奪う前の、あの、凛々しい顔が私は今も忘れられない。
罪な私を許してなんて言えないけれど、この命のすべてを生かすって、あの時
決めたんだ。
最後の最後まで、私を見てた。
あのまっすぐな目が、あまりにまっすぐすぎて、正直すぎて怖いほどで、
この胸にその表情が、強く焼き付いたから。

寒い中、ずっと作業をしていてすっかり体が冷え切ってしまった。
夕飯は鍋にして、早めにお風呂を焚いてもらう。
薪のお風呂のなんと温かい事よ。
この冬1番の体にしみる風呂だった。
冷え切った体がほぐれていく。
この風呂のお湯、そして部屋を暖めるストーブの薪は、廃材だ。
ありがたい。心から、ありがたい。
命も資源も、すべてが、かけがえがない。

産まれてくる命、奪う命。続いていく命。そしてエネルギー。
すべてに感謝。

さて、温まった体が冷えないうちに、寝る事にしよう。疲れたけれど、いい1日だった。







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